双姫 Ⅲ
「え?取ってないの??」
弟よ、何故残念そうな顔をする…。
「えぇ〜…?絶対取ってると思ったのに。
オジサンってつまんない男だね!」
我が弟ながら恐ろしい言葉を連発する。
自分の状況を軽く思っているからなのか
どこか余裕がある。
「こっっの…!!」
『天空ッ!!』
「ヤダぁー!止めてぇ!!!」
最後の糸が切れたのか、
ヤクザは大きくナイフを振り上げる。
『振り切られる前に!』
止めようと足を踏み出そうとすると、
「行かなくて良い。」
お父さんに止められた。