双姫 Ⅲ


「父さん!上手く出来たよね!!」


「あぁ、今迄で一番の蹴りだったぞ。」


ちょっと待て。

今迄ってそれ以前から練習してて、
誰かに的をさせてたって事…?


『え、エゲつない……。』


その人は大丈夫なんだろうか。


「見てるこっちが辛いよぉ…。」


相当痛いのか男は呻き声を上げながら、
涙を流している。


『……使い物にならなければ良いけど。』


「え!?おねぇちゃんそっちなの!!??」


『ん?何が??』


「な、なんでもないよぉ〜(笑)」


一先ず大惨事にならなくて良かった。


「……類、説明してくれる?」


あぁ…一難去ってまた一難。

今日の天気予報は晴れだった筈なのに

『ここは雪国ですか?』って
ツッコミたくなる程に寒い…凍死しそうです。


黒い笑みを浮かべながら


「納得のいく説明の提供を求めます。」


お母さんが腕を組んでお父さんを見据えた。


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