双姫 Ⅲ
類side
「誰でも納得するような説明を要求するわ。」
朱音がご立腹だ。
「母さん!僕ね?
将来は『樺沢組』を引き継ぐんでしょ?」
「なッ!?」
「天空にはもう稽古をつけている。
跡継ぎになるのは避けられないからな。」
朱羽と蒼月は女だ。
この二人には俺達の会社を継いで貰う。
「それにしたって!まだ小学生なのよ!!??
類だって「まだ良い」って言ってたじゃない!」
" ねぇ、類。
『樺沢組』の跡継ぎは天空になるのよね…? "
" …そうだね。 "
" いつ…いつから稽古をつけるの……? "
" もう少し成長してからかな…? "
稽古を引き伸ばしても
天空が組を継ぐのは避けられない。
泣きそうな朱音を見ていたら、
言い出せなかったんだ。
「……朱音、泣くな。」
「分かってるッ!
いつかは組を継がせる事も理解してるし、
それを覚悟で結婚したんだもの!
でも、やっぱり…辛いッ……。」
この世界は優しくない。
気を許したら一瞬で足元を掬われる。
出来るなら俺も三人には
普通の生活を送って欲しかった。
類sideEND