双姫 Ⅲ


天空side


「母さん…。」


母さん、なんで泣いてるの?


「天空、いつから稽古をしてたの…?」


「えっとね…三ヶ月前からかな!
でもね!そんなに大した事してないよ!!」


「三ヶ月前から…。」


母さんの表情が暗くなる。


僕はまだ小学生だけど
父さんに聞いて普通とは違うって理解した。

父さんがヤクザの組長だって知った時は
少し驚いたけど。

他にも紘叔父さんや芦基叔父さんの事や、

『双姫』『双覇』『神龍』『双神』

この人達の事も教えて貰ってた。

『双神』って言うのは

『双姫』『双覇』の双を、
『神龍』の神を抜き取って出来た。


つまり、合併?
余りにも仲良かったから一つにしたらしい。

僕はその話を父さんと
父さんの友達に聞く度に面白そうだと、
早く継ぎたいと思って自分から稽古を申し出た。

でも、母さんはそれが悲しいのか
ポロポロと涙を流す。


目の前の事しか見えなくて、
母さんがどう思うか考えてなかった。


「母さん…。」


母さん、泣かないで。


天空sideEND


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