双姫 Ⅲ


朱音side


「母さん、泣かないで。」


小さい我が子に慰められる駄目な母親。


「泣いてなんか…ッ……。」


分かってる。

この子が将来は組を継がないといけない事も、
そのせいで傷付かなければならない事も、

それでも私の息子なんだから
幸せになって欲しいと想うのは悪い事…??


「母さん、僕ね?
父さんに聞いた時に継ぎたいって思ったんだ。」


その言葉に俯いてた顔を上げる。


「継ぎたい……?」


「うん、
父さんは強制的に稽古をつけたんじゃないよ。」


まだ小さい天空。

稽古をつけるにはまだ早い、まだ早いと
先延ばしにしてた。

私の精一杯の我儘だった…。

でも、考えていたよりもずっと大人だったのね。


「母さん、僕は泣いてる顔よりも
笑ってる顔の母さんが大好きなんだ!
だから、笑って待ってて欲しい!!

これからもっともっと強くなって、
母さんを悲しませないように頑張るから!!」


「強くなっても、
自分から危険な目に遭ったら駄目よ…?」


「うん!」


「行ってきますを言ったらただいまを言うのよ?」


「もちろん!!」


" おねぇちゃんには笑ってて欲しい。 "


天空も蒼空と同じ事を言うのね。


朱音sideEND


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