双姫 Ⅲ
翠の過去
翠side
物心ついた頃から俺と類の両親は、
いつもいつも下らない事で揉めてた。
「ねぇ、なんで!?なんでなのよ!!」
「うるせぇ!文句があんなら出て行け!!」
小さかった俺にはどうする事も出来なかった。
初めは何回も「止めて、喧嘩しないで!」と、
訴えていたがそれが気に食わないのか
暴力を振るわれる事があった。
痛かった…苦しかった……。
今の俺なら容易くあしらうが、
あの頃の俺は何も出来ない只のガキだった。
俺より小さい弟を抱え、
言い争う両親をどこか他人のように見詰める。
「また始まったな……。
大丈夫だ、お前は俺が守ってやるから。」
ギャーギャーと外にまで聞こえそうな音量。
標的にならないように押し入れに入る。
「恥ずかしいな…悲しいなぁ……。」
なんで…俺達の親がコイツらだったんだろう。
もっと優しくて、笑って、一緒に手を繋いで。
望んだのはそれだけだ。