双姫 Ⅲ
両親の似顔絵を描こう。
そんな、普通に学校で出た宿題。
「なーなー!
お前ん家の母ちゃんって美人なんだろー?」
「そ、そうかなー!」
教室で両親の自慢をする友達を、
冷ややかな目で見る俺は可愛くない。
コイツらの親はなんでまともで、
なんで俺の親はあんななんだ。
「なぁ!翠の親ってどんななんだ?
やっぱ、美男美女!?」
「お前イケメンだもんなぁー!」
「羨ましいぜ!!!」
俺からしたらお前らの方が羨ましいよ。
「……別に普通だよ。」
毎日毎日、喧嘩ばっかして
見えない所に痣を作る最低な親だよ。
この頃にはもう、
アイツらに期待出来ない、したくない。
子供は親を選べない事を知っていた。