双姫 Ⅲ
「…ハァ……それで、殴られた事に腹立ってな?」
直ぐに殴り返そうとしたんだ。
「でも、顔を見た瞬間に俺の身体は停止した。」
面白い位に動かない身体で、
相手の顔を何度も何度も見る。
同じ顔が目の前にある事が、
こんな事があるのかと疑問が頭を埋め尽くした。
まさか…まさか。
確定出来ないのに、
俺の目が頭が身体が全てが…訴えている。
コイツは俺の弟だ。
俺のたった一人の…。
まだ分からないのに、
笑い方を忘れていた俺は自然と笑っていた。