双姫 Ⅲ
「私が高い門を飛び越す所を見られてて、
玲に「『双覇』に入れ」って言われたけど
逆に断ったから興味湧いたみたいでね……。
それで、しつっこく付き纏われて?
いつの間にか心を許しちゃったの。」
「でもな?いきなり殴るわ、姿消すわ…。
朱音は俺らに心配ばっか掛けてた。」
な、殴る…?
『え、なんで殴る事になった訳?』
「真白を襲ってた奴らを返り討ちにしたら、
たまたま『蛇蝎』の幹部でね?
その他にも下っ端ボコっちゃったら、
なんと『神龍』に手を掛けたから
『双覇』も危ないと思って遠ざける為にね…。」
「俺らを想って殴ったんだ。」
な、なんかツッコミ所いっぱいあるけど!
お母さん……素敵過ぎるッ!!
「それなのに追っ掛け回されたけどね。
でも、あれが無かったら
今のお母さんはここに居ないわ…。」
懐かしそうに笑う両親。
その光景を見ると私達まで嬉しくなる。
「それから真白が攫われて、魁と錦…。
『蛇蝎』とのケジメをつける事になった。」
楽しい雰囲気だった部屋に緊張が走る。
だって、その後の事をさっき少しだけ聞いた。
お母さんはその抗争で撃たれるんだ。
真白さんを庇って……。