双姫 Ⅲ


「この目も元からじゃないわ。
朱羽みたいに両目共『朱』だった。
これは蒼空の目を移植されたの。

……錦に切られてトドメを刺されるって、
もう駄目だ…死ぬんだって思った。

でも、痛みが来なくて目を開けたら、
蒼空が代わりに刺されてた。」


『お母さんも…蒼空叔母ちゃんも……。』


なんで自分が死ぬかもしれないのに、
迷いもせず飛び込んで行けるの?

人間はいつだって自分が可愛い。
私だって助けたいって思うけど迷ってしまう…。

それなのにどうして……?


「自分が死んでも生きて欲しかったから。
それだけよ。」


なんて強い覚悟…。
私にもそんな覚悟が出来るかな……?


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