双姫 Ⅲ
「…でもね?
最初は「蒼空と居る、帰らない」って言ったの。」
『え……。』
お父さんを見ると驚いた顔をしてる。
これは話してなかったみたいだ。
「小さい頃に蒼空と『約束』をしてね?
ずっと傍に居る…そう言って指切りをした。
『蛇蝎』を潰し、目的を果たせたら
私は死ぬつもりだったの。」
お母さんは『約束』を必ず守る。
口約束なんて周りの皆は簡単に破るのに、
お母さんは一度もない。
「蒼空との『約束』が守れるなら
どうでも良かった…。
でも、
どうしても皆の顔が頭から離れなかった。」
「…ッ…朱音……。」
お父さんがお母さんを抱き締める。
お父さんの泣き顔…初めて見たな……。