双姫 Ⅲ


「…でもね?
最初は「蒼空と居る、帰らない」って言ったの。」


『え……。』


お父さんを見ると驚いた顔をしてる。
これは話してなかったみたいだ。


「小さい頃に蒼空と『約束』をしてね?
ずっと傍に居る…そう言って指切りをした。

『蛇蝎』を潰し、目的を果たせたら
私は死ぬつもりだったの。」


お母さんは『約束』を必ず守る。
口約束なんて周りの皆は簡単に破るのに、
お母さんは一度もない。


「蒼空との『約束』が守れるなら
どうでも良かった…。

でも、
どうしても皆の顔が頭から離れなかった。」


「…ッ…朱音……。」


お父さんがお母さんを抱き締める。


お父さんの泣き顔…初めて見たな……。


< 171 / 520 >

この作品をシェア

pagetop