双姫 Ⅲ
朱音side
「朱音、指名されたよ。」
「そのようね。」
まさか指名されるとは思わなかったけど。
「男として相手してやってくれ。」
蓮斗と亜蓮の方へ足を進めようとすると、
玲が意味深な事を言って来た。
「蓮斗達は朱音って事に気付いてない。
だから、本気で向かって来るぞ。」
「え…私って知らないの?」
「アイツらには『黒双姫』と『白双姫』が
同一人物だと教えてない。
その方がお前に負担が掛からないと思った。」
「玲……。」
たしかに噂でも別人だと思われてるみたい。
その噂を聞いた時なんでだろうって思ったけど
玲が流したんだね。
「アイツらをずっと騙してたが、
そろそろ教えてやっても良いと思ってな。
そこは朱音が決めて構わねぇから。」
「うん!分かった!!」
「最初は男口調で行けよ?蒼翔。」
懐かしい名前で呼んでくれちゃって。
「おう、行って来る。」
男になりきって足を踏み出した。
朱音sideEND