双姫 Ⅲ
『お母さん!!』
急いでお母さん達に駆け寄る。
「朱羽、今は『双姫』として居るから
お母さんは駄目よ。」
地面に落ちた仮面を拾い上げ、
また付けるお母さんはまるで別人。
「ゲホッ!」
「痛いなぁ〜(泣)」
蓮斗が殴った後にお母さんがお返しに
強烈な蹴りを入れたから蹲(うずくま)ってる。
「あら…ちょっと手加減出来なかったかしら。
仮面を外された事なんて無かったから
ついムキになっちゃった(笑)」
「まさか朱音さんが男装してたなんて。
もしかして『双姫』は……。」
『どっちもお母さんだよ。
知らなかった事にこっちが驚きなんだけど。』
私の言葉に手で顔を覆う二人。
「あのクソ親父……。」
「玲を責めないで。
嘘の噂を流したのは私の為だから。」
『神田さんが……あ!お母さん血が出てる!!』
「少し口の中を切ったみたいね。」
唇の端から血が出ていた。