双姫 Ⅲ


「朱羽さん!蒼月さん!!」


遠くで的場さんの声が聞こえる。


『んー!!んん!!!』


「ヤダぁ!んぐ!!」


口に布を当てられ、薬品の匂いがした。


「サッサと詰め込め!」

「これで樺沢組は俺らのもんだ。」


樺沢組…?何それ。
そんなの知らないんですけど……。


薄れていく意識の中で思い浮かんだのは
お母さんとお父さんの顔だった。


助けて…。


そこで意識は途切れた。


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