双姫 Ⅲ
「ここなら大丈夫かなぁ〜?」
電話しても声が聞き取れる場所を見つけ、
スマホを操作しようとすると
「何してんねん!」
ビクッ!
「え?あれって……碧??」
トイレに行った筈の碧が居た。
電話しているのか何か喋っている。
それも普段は見せない険しい顔で。
「ちゃんと始末せぇよ。
そろそろ蓮斗達にも勘づかれるかんな。」
「ッ!?」
物騒な言葉が聞こえ、思わず身を隠す。
おねぇちゃん…って事は無いよね?
でも、もしそうだったとしたら。
" 中には組に産まれた事を喜ばない奴も居る。"
お父さんの言葉を思い出し、青褪める。
「今迄味方だと思ってた組が敵になる事もある…?」
組の事なんて蒼月は何も知らない。
『樺沢組』の娘って事すら知らなかったし、
跡継ぎである天空が知ってるその世界の複雑さ。
「大丈夫だ」とお父さんは言ってたけど、
そんな保証どこにも無い。
碧の事が信じられなくなった。
蒼月sideEND