双姫 Ⅲ
『さっき、そこの電柱の影に碧が見えたの。』
無表情で只、見てるだけ。
逆にそれが不信を煽る。
「本当に碧だったのか!?」
「信じられないよねぇ……。
蒼月も聞いた時、信じられなかったもん。」
『私も。
だから、毎日碧の事見てたりしてたんだけど
なんも手掛かりがなくて。』
そしたら見てしまった…本人を。
「ちょっと待って?碧って『飯嶌組』だよ??
それなのに朱羽達を狙うかなぁ…。
『樺沢組』と『神崎組』を
敵に回す事になるんだよぉ!?」
『でも、味方だと思ってたのに
いきなり敵になるって事あるでしょ?
私…組の事よく知らないけど。』
明らかに空気が淀み、何も言えなくなる。