双姫 Ⅲ
「みどりん……?」
知念の呼び名を聞いても耳に入らない。
「マジかよ…お前、俺らを裏切ったのか!?」
「信じらんない。
今迄の全部作り物だったって訳?」
知念、湊、真綺も碧を責める。
「バレたもんはしゃーないなぁ?
ごっこはこれで終いや。」
「ごっこ……?
お前、なんで俺らを裏切った!!」
ガッ!
怒りを抑えきれなくなった蓮斗が
碧の胸ぐらを乱暴に掴む。
「答えろッ!!」
「そんなん決まってるやろ?
只の暇潰しや。」
悪びれる事もせず碧は淡々と話し始める。
「わいの『飯嶌組』は充分な権力を持っとる。
せやけど、上には上が居るんや。
その上に行きたいん思うんはあかんか?」
『だから、私を狙ったの?
『樺沢組』の娘だから!?』
そんな理由だけで…?
「正確には類さんと紘さんが狙いやけどな?
その二人潰せばわいの組が世界一や。
自分よか上が居るんは性に合わんのや。」
ドカッ!!
「碧……お前を幹部から外す。
もう二度とここにも俺らの前にも現れんな!!」
「イッタいなぁ〜……。
ほな、裏切り者はドロンするわ♪」
何事も無かったかの様に碧は笑いながら
幹部室…『双神』の倉庫から出て行った。