双姫 Ⅲ
「黙って聞いてればッ!!」
『お母さん!!』
真綺がお母さんに向かって殴りかかる。
「皆、手を出さないで。」
お母さんは真綺の攻撃を
避けながら周りに手を出さない様に制する。
「朱羽、蒼月。」
『お父さん!』
「お父さん…ねぇ、止めないの!?」
ガッ!
バキッ!!
激しい攻防を目の当たりにして、
誰も止めに入らない事に疑問に思う。
「止めない…いや、止められないんだ。」
止められない?
「あの子の気持ちはここに居る誰よりも
朱音が一番理解出来る。
だからこそ、
朱音は否定しなきゃいけないんだ。」
『でも、こんなのって……。』
よりによってこの場所で、
同じ境遇の二人がぶつかるなんて。