双姫 Ⅲ
過去の自分
真綺side
「アンタさえ…アンタさえ居なければ!!」
「………………。」
何よ、その目。
アンタは「それは間違ってる」と
周りと同じ正論を語ると思ってた。
なのに…それすらしないの?
どうしてよ。
その目は私を理解しようとする目。
アンタは私を理解した上で
私の全てを否定するの?
「うあぁーーッ!!!!」
分かってる。
自分がしている事は間違っている事も
お兄ちゃんが罪を犯した事も。
それでも、誰かのせいにして生きなきゃ
私は自分を保つ事が出来なかったの。
カチャッ…
震える手を抑え、ナイフを握り締める。
「………………。」
それでも目の前の『双姫』は冷静で、
反対に私は涙が溢れる。
何かに引き寄せられる様に
私は『双姫』に向かって行った。
真綺sideEND