双姫 Ⅲ
朱音side
涙を流しながら向かって来る錦の妹。
その手にはナイフが握られている。
あぁ…私も皆の気持ちに気付けなかったら
こうなっていたんだろうか。
目の前に居るのは過去の自分であり、
もしかしたら
今の自分になっていたかもしれない。
「私のせいね……。」
私の恨みが新たな恨みを生み出してしまった。
『お母さんッ!』
でも、死ぬ訳にはいかない。
家族の為にも
そして、蒼空と『約束』したから。
ナイフを振り払おうと切っ先を見据える。
ガッ!
「「ッ!?」」
私が払う前に
横から伸びた手がナイフを掴んでいる。
「真綺…止めろ。」
「おにい…ちゃん?」
錦、そして東条が私の両隣に立っていた。
朱音sideEND