双姫 Ⅲ
真綺side
「う…そ……本当にお兄ちゃん?」
「ごめんな。
俺のせいでこんなにも苦しめて…。」
少し痩せた気がする。
「もう復讐なんかしなくて良い。
もう…苦しむ必要は無いんだ。」
なんで?
だって、お兄ちゃんは『双姫』のせいで!
「お兄ちゃんは…許せるの!?」
「違う…朱音が俺を許してくれたんだ。
朱音の大切な妹を奪った俺を。
決して許されない罪を犯した俺を許してくれた。」
「許す……?そんなの綺麗事じゃない!
どうせ心の中では憎んでるに決まってる!!
そんな綺麗な人間なんて存在しないんだから!」
「真綺。」
「東条さんも…「止めろ」って言うの?」
痛い…何かに突き刺さったみたいに。
私の心が「痛い」と叫んでる。