双姫 Ⅲ
独りじゃない
「なんで私達が面倒見なきゃいけないの!?」
「仕方ないだろ。
母親は逃げて、行方知れずなんだから!」
「噂では「尻軽女」だって…本当だったのね。
勘弁してよぉ!私達までなんて思われるか!!」
耳に入るのはいつも私の心を痛める言葉。
バンッ!
乱暴に玄関の扉を開け、夜の街を走り回る。
行く宛もなく座り込んでいた時、
「お嬢ちゃん?
こんな所に座り込んでどうしたのかなぁ??」
いかにもって感じのオッサンが来て、
どうでも良いと思いそのまま俯く。
「オジサンと一緒に来るかい?」
ニヤニヤと気持ち悪い男の顔を見ると、
" あの子も尻軽なんじゃないの? "
「触んないでッ!!」
その言葉を思い出して抵抗した。