双姫 Ⅲ
「痛いなぁー!」
「お前は馬鹿か!!簡単に許せるかよ!」
確かに、
簡単に許してる様に見えるかもしれない。
「芦喜さん。
謝る方も勇気はいるけど、
許す方はそれ以上にいると俺は思うんですよね。」
これは、朱音の側で見て来たから
言える事だと思う。
「さっすが義弟!!分かってんなぁー!!」
「に、義兄さん…痛い……。」
頭をガシガシと掻き回された。
「そっか…そーだよね。
朱音、苦しんだもんね……。」
「でも、見て…あんなに笑ってる。
昔は作り笑いだったのにね……?」
「うん、うんッ!朱音…笑ってる!!」
それはもう、輝いて見える程の笑顔。
「……朱音?」
でも、その笑顔が苦痛に変わる。
「朱音ッ!!」
ドサッ…
力無く、朱音が倒れた。
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