双姫 Ⅲ
「嘘だ!『双姫』は実在しない!!」
「あら、私はここにちゃんと居ますけど?」
手を振るのは、
『「お母さんが…?」』
でも、その表情はお母さんじゃない。
「そろそろその忌まわしい拳銃を
娘の頭から離しなさい。」
お淑やかにといつも私達を叱るお母さん。
でも、今は『双姫』という伝説の女。
「それともまたその手に傷を負いたい?」
カチャ…
お父さんの懐から拳銃を取り出し、
銃口を向けるお母さんは
怖いけど、不思議と嫌いにならなかった。
寧ろ、
『「カッコいい…。」』
見惚れてしまった。