双姫 Ⅲ
『蒼月、皮剥いて。』
「はぁ〜い!」
蒼月が野菜の皮剥き役、私は切る役。
蒼月に包丁持たせたら危ないからね。
シャッ…シャッ!
トントントン…
「またお父さんに一人占めされちゃったねぇ…。」
『………。』
「お父さんはお母さんさえ居れば良いのかなぁ…。」
『馬鹿な事言わないで剥いて。』
「おねぇちゃんはなんとも思わないのぉ?」
思わない事なんてない。
でも、仕方ないじゃない?夫婦なんだから……。
そう思うのは当たり前なんだよ。
ガチャ
「朱羽達が作ってるのか。」
「父さん!母さんと仲直り出来た!?」
「あぁ、天空のおかげだな?
これからも頼むぞ?」
「うん!ちゃんと見張っとくからね!!」
お父さんと天空を素通りし、
私達はお母さんの寝室に向かった。