双姫 Ⅲ
『そっか、実基叔母さん。
赤ちゃんがお腹の中に居たんだった…。』
すっかり忘れてた。
「おねぇちゃん!それ所じゃないよぉ!!」
お母さんを支える蒼月。
「助けなきゃ……助け……な…きゃ…。」
『お母さん!しっかりして!!』
「お母さぁん!!」
さっき迄余裕を持ってたお母さんは
涙を流し、虚ろな瞳で前を見ている。
お母さんの瞳には
あの光景が映し出されているんだろう。
「私が…助けないで誰が助ける。」
綺麗な瞳が黒く陰った様に見えた。