双姫 Ⅲ
朱音side
『お母さん!しっ……して!!』
「お………ぁん!!」
あぁ、朱羽と蒼月が何か言ってる。
それでも私は目の前の光景から目が離せない。
前にも見た事がある光景。
忘れられない、忘れる事なんて出来ない。
蒼空が死んだ時を思い出す。
血に染まる妹を抱き締める事しか出来なかった、
幼かった私はその無力を呪った。
でも、
「私が…私が助けないで誰が助ける。」
今の私には力がある。
一度感じた事のある黒い感情に飲み込まれた。
朱音sideEND