初恋は叶わない
一番上まで登ったら、全然違う景色が、
目の前に広がって、
「うわぁ。
ジャングルジムってこんな高かったけ?
久し振りだから、なんかコワイかも」
「降りられなくなっても、俺知らないからな」
「そういうこと言わないでよー!
余計コワくなるじゃん」
「だってホントのことだし。
木に登って降りられなくなってるネコとか、
よくいるじゃん?」
ニヤニヤしながら少しずつ後ずさり、
私との間に距離を取っていく。
「性格悪過ぎ!」
指が余るくらい細い鉄の棒を、
握ってるだけじゃ不安で、
しがみつこうと身を捩ると、
足の先でプラプラ揺れてた下駄が片方、
落ちて行った。
カツーンって音が、
トライアングルみたいにジャングルジム全体に響く。
「「あーあ」」
ガッカリしたトーンと、嬉しそうに弾むトーンがハモる。
「また裸足で降りる?」
早川があんまり楽しげに聞いてくるから、
「いい。まだ降りないから」
こっちも意地になる。
下駄を落としたなんて、なかったことみたいに、
キッと前を向く私を見て、
早川は、大げさなほどのため息をつくと、
「すぐ泣くクセして、強情なヤツ」
って、呆れかえっていた。
目の前に広がって、
「うわぁ。
ジャングルジムってこんな高かったけ?
久し振りだから、なんかコワイかも」
「降りられなくなっても、俺知らないからな」
「そういうこと言わないでよー!
余計コワくなるじゃん」
「だってホントのことだし。
木に登って降りられなくなってるネコとか、
よくいるじゃん?」
ニヤニヤしながら少しずつ後ずさり、
私との間に距離を取っていく。
「性格悪過ぎ!」
指が余るくらい細い鉄の棒を、
握ってるだけじゃ不安で、
しがみつこうと身を捩ると、
足の先でプラプラ揺れてた下駄が片方、
落ちて行った。
カツーンって音が、
トライアングルみたいにジャングルジム全体に響く。
「「あーあ」」
ガッカリしたトーンと、嬉しそうに弾むトーンがハモる。
「また裸足で降りる?」
早川があんまり楽しげに聞いてくるから、
「いい。まだ降りないから」
こっちも意地になる。
下駄を落としたなんて、なかったことみたいに、
キッと前を向く私を見て、
早川は、大げさなほどのため息をつくと、
「すぐ泣くクセして、強情なヤツ」
って、呆れかえっていた。