初恋は叶わない
「そういえば、夕方、迎えに来た男の子、学校のコ?」


そういえばって、ちょっと白々しいけど。


「うん。クラスメイト」


すんなり答えた私に、気を良くしたのか、
「…かりんのカレシなの?」


って、ストレートすぎでしょ。


「違うよ!…友達。」

間髪入れずに否定すると、


「友達ねぇ」


疑うような視線を向けてくる。


「ホントだって!もし、カレシできたら、隠したりしないよ」

「そうよね。かりんは、隠したりできないタイプよね」


くすっと笑いながら言うから、


「悪い?」


バカにされたみたいで、ちょっとムッとなる。


「悪いなんて言ってないでしょ。
そこがかりんのイイとこなんじゃない」


「イイとこねぇ・・・」


とても誉められてるとは思えないんだけど・・・。


お母さんは、聞くこと聞いて気が済んだって顔して、


「今度から遅くなる時は、ちゃんと電話するのよ」

「はぁい」

「じゃ、さっさと入っちゃいなさい」

「了解。
あ、待って、お母さん!」


私が急に大きな声出したから、


「何なの!?」


すごく驚いた顔して振り返ったお母さん。


「携帯、充電器に差しといて!」

「はいはい」


そんなことかと、呆れながら出て行くお母さんを見送って、

残った下着を脱ぎにかかる。

ちゃんと充電しとかなきゃ。

メール来てもわかんないもんね。


「帰ったらメールちょうだい。」


「いいけど、なんで?」


「だって、心配じゃない!
私だけ送ってもらって、
そのあと、気になるでしょーよ」


「そういうことか。
わかった。メールする」


帰りがけにした約束、

ちゃんと覚えててくれるといいんだけど。

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