初恋は叶わない
ビミョーな沈黙が続いた後、

今度はお前の番だとでも言うように、

修ちゃんが身を乗り出しくる。


「そっちは?」

「え、わたし?」

「花火デートしたらしいじゃん?」


拗ねたような口調が、ちょっとかわいい。

あれ、でも、その話したっけ?


「デートじゃないし!
てか、なんで知ってんの?」

「聞いたんだよ」

「誰に?」

「早川孝」

「早川っ?…ってなんで!?」

驚きすぎて、声が裏返ってる。

修ちゃんはぷっと吹き出した。

「お前が心配掛けるからだろー。
男と出かけたって聞いたから、
ピーンと来てさ」

「だって、でも、番号…、」

「知ってるっつーの。
この前ちゃんと、赤外線で、」


にんまり笑うと、わざわざポケットからケータイ取り出して、

発信履歴を見せてくれた。

「いつのまにっ?!」

私は思わずひっつかんで、日時を確認した。

昨日の電話の後?

だけど、早川は何も言ってなかった。


「知らなかったのか?
あ、俺が口止めしたんだっけ」

「もう、信じらんない!
何考えてんの、修ちゃん?」

「別に何も。
俺はかりんが心配なだーけ」


修ちゃんは満足げににっこり笑って、

私がぶん取ったケータイをすんなり取り返していく。


にしても、そこまでやるー?

お父さんじゃないんだからさー。

いや、お父さんでもしないでしょ。
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