初恋は叶わない
でも、それは私が特別なわけではなくて――


ただ誰にでも優しい罪なヤツなんだよね、

この男。

しかも、自分で全然それに気が付いてないんだもんなぁ。

こんなヤツの彼女になったら、

毎日不安で仕方ないかもしれない。

行く先々でいろんな女の子に優しくして帰ってくるんだから。

(もちろん女の子だけじゃないのだけれど)

でもそこがイイのかもね…なんて矛盾してる。

そういうトコちょっと修ちゃんに似てるかも。


「オマエ好きなヤツとかいないのか?」


修ちゃんに聞かれた時、

一瞬、早川の顔が頭に浮かんだ。


「オレなんかいっぱいいたけどなぁ。

どっちかというと、いっぱいいて悩むタイプだったな。

うん。」

「いっぱい、ねぇ」


修ちゃんの好きなタイプって、

どんな女の子なんだろう。

そんなことボンヤリ考えてたら、

また蝉が鳴きだした。
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