初恋は叶わない
「二人、付き合ってんの?」

今度は、修ちゃんの低い声が響く。

「顔がコワイよ、修クン。

よっぽどカワイイんだねー、かりんちゃんのこと」

くすくす笑うレイナさんに、修ちゃんは何も答えない。

「いいえ、クラスメイトです」

せっかく、すぐに否定してくれたのに、

「今はまだ、でしょー?」

って、レイナさんが早川をからかってる。

この空気、耐えられないよー。

起きて参加しようとする私を押さえるように、

早川の指先に、グっと力が入る。

仕方なく私は、おとなしく寝たフリをするしかなくて。

だけど…、

なんでもっと強く否定してくれないの?

さっき、寝てていいって言ったのは、

その間に、こーゆう誤解をちゃんと解いてくれる

ってことなんだと思ったのに。


「あ、そうだ!名前、聞いていい?

何て呼んだらいいか、わかんないもん、ねぇ?」


レイナさんが、うまく違う話題を振ってくれた。

わざとなのか、計算なのかはわからないけど、

この無邪気さには救われる。
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