初恋は叶わない
「いや、だから、そうじゃないって」
「えー?だって付き合ってたらそう思うのがフツーだよ。
彼が忙しくて会えないなんて、かわいそうだよ。
まだ高校生でしょ?
久々のデートなんだったら、
その時間、大事にしなくちゃ…」
あのー、早川の話、聞いてなかったんですか?
付き合ってるなんて言ってないんですけど?
それにしても、今の、
レイナ自身さんのこと、
言ってるみたいに聞こえた。
感情移入しすぎてか、
最後には泣きそうな声だったし。
気のせいかな?
どうしても気になって、薄く目を開けると、
「なんて、余計な御世話か…」
そう言って小さく舌をペロッと出して、
自嘲気味に笑うレイナさんがいて。
結局私は、その場で否定の言葉を口に出すことができず、
それは早川も同じみたいだった。