初恋は叶わない
「ねーねー、どこ行ってたの?」

「心配したんだよ?待ってるのに来ないんだもん」

うーん、何て答えたらいいんだろ。
でも何か言わないとマズイよね。


「そりゃまあ、早川が来るの黙ってたのは、
悪かったけど、言ったらかりん、来ないでしょ?」


へー、珍しい。悪かったと思ってるんだ?
おもしろいからもうちょっと責めてみることにした。


「そんなことないし!だいたいねー」

「でも来てよかったでしょ?
私達放っておいて、二人でどっか行っちゃうなんて、
かりんも意外と大胆だよねー」


もう私の話聞いてないし。
待ちきれなくってうずうずしてるのが
声だけで伝わってくる。
みかの質問をテキトーにかわしながら、
私も聞きたいことがあったことを思い出して、


「ねぇ、そもそもなんで今日早川が来たわけ?」


今度はみかが答える番だ。


「え?あぁ、ヒロ君に頼んだの。
『誰か男の子連れてきて』って。そしたら、」

「そしたら?」

「あの二人、中学から仲よかったみたいだったから、
私も、知らない人より知ってる人の方がよかったし、
それで・・・、」


「ふーん」


「ホントだよ!偶然っていうか、あの、ちょうどお休みだっていうし、
かりんとなら、気も使わなくてすむからラクなんじゃないかって、ヒロ君が・・・」


最後にはヒロ君のせいにしちゃって。
かわいそうなヒロ君。
確かにみかのおかげで、今日は色々楽しかったけど。
そんなこと本人に言ったら、


「でしょでしょ?」


なんてすぐ図に乗りそうだから絶対言わない。
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