初恋は叶わない
「にしても、知らなかったなぁ。

かりんが早川と二人で海行く仲だなんて、…ねぇ?」


いきなり本題に入られて、心の準備ができてなかったせいか、

まるで私が隠し事でもしてるみたいなゆうきの言い方に、

ついムッとしてしまった。

ゆうきは日頃から早川のファンだって言ってるから、

わからないわけじゃないけど、

自分はちゃんと彼氏いるくせに、おかしくない?


「だよねぇ。いつのまにそんなに仲良くなってたわけ?」


ゆうきの意見にそのまま同調するなっちゃんに、


「違うよ。それはみか達がさっ、」


慌てて説明しようとするけど、


「私はプールに行こうって誘っただけだよ!

海なんて、そっちが勝手に行ったんでしょー?」


冷蔵庫を開けながら、すかさずみかが反撃してくる。


「それはっ、早川が行きたいって強引に…」

「イヤなら行かなきゃいいじゃん、ねーっ」

「「ねーっ」」


あーあー、すっかり一致団結しちゃって。


「そんなのっ、断れる雰囲気じゃなかったんだって」


なんて、私の必死の弁明も、


「ふーん。」

「ま、そういうことにしとく?」

「だね。じゃないと話先に進まないし」


って、まともに取り合ってくれない。

どうせ私の言い分なんて、

最後まで聞いてもらえない上に、軽く流されるだけ。

3対1じゃ、完全に不利だし。

これから話すことも、

ちゃんと言葉どおりに受け取ってもらえるのかどうか、

この分じゃ怪しいな。

なんかいろいろ勝手な妄想入れられそう。

とりあえずテキトーにかいつまんで話そう。

もちろん、都合の悪いところは省略して。

ウソついてるわけじゃないから、問題ないよね?
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