初恋は叶わない
「でも、おかげで自分の気持ち、ちゃんと自覚できたんじゃない?」

「うーん…」


相変わらずみかは容赦なくつっこんでくるなぁ。


「私だったら絶対耐えらんないな!

意地でも電車で帰ってくるね。

かりん、よく車なんか乗ったよね」


興奮気味に話すゆうきの言葉に、

そう言われればそうだなと、今さら思ったり。


「ダイジョブだったの?」


心配そうに私の顔を覗き込むなっちゃんに笑い掛け、



「うーん、なんとかフツーにしてたつもりだけど…」


「泣かなかっただけでもエライよね。よく頑張った!」


「泣かないよ、さすがに!

けど、早川にだいぶ救われたってのもあるかも。

バカ話してるだけでずいぶん気が紛れたし」


一瞬、別れ際の早川の顔が浮かんで、焦った。

顔が赤くなってないか、バレないように頬に触れてみる。

よかった、そんなに熱くない。

「ふーん。…それって、早川気づいてたんじゃないの?」


何か含みのある言い方するみか。


「何が?」

「だから、かりんが修ちゃんを好きってことにさ」

「えー?」


あんまり早川の話をしてると、

余計なこと言っちゃいそうだから、

早く終わらせたいんだけどな。

泣いてるとこ見られた上に、

慰めてもらったなんてバレたら!

想像するだけで、ぞっとする。



「気づいてないと思うけどな…」


自分で言ってても、しらじらしいなと思いつつ。

みんなの視線が痛くて、ごまかすように冷蔵庫へ向かった。


「いや、その場にいたら、たぶん誰でもわかると思う。

かりん、わかりやすいから」


「気づいてないフリしてくれてるんじゃない?

早川優しいからなぁ」


「まぁ、優しいとは思うけど…」



そこはなぜか素直に認めてしまった。



「で?ウチまで送ってもらったんだ」

「うん」

「いいなー。私も送ってほしー!」


ゆうき、どんだけ早川ファン?ってくらい、

いちいち反応してくるから、


「うるさいよ」


みかに一喝されておとなしくなった。

ホント、みかがいてくれてよかったわ。

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