初恋は叶わない
気を紛らわせようと、またメニューに視線を戻して、


「えっと、この、ベリー系のパフェあるでしょ?
これ、中のアイスが、クリームチーズ味なんだよ!
ちょっと酸味がきいてる感じで、すごくおいしそーでしょ?
それと、も1個がねぇ、こっちのマンゴーので、」


早口で説明すると、


「ぷっ、くっくっく…、お前どこまでマジで悩んでんだよ」


修ちゃんは、もう我慢できないって感じで、噴き出して笑っている。


「どっちも頼めば?俺も手伝ってやるから」

「…うん」


そんなに笑わなくたっていいのに。

修ちゃんは片手でお腹をさすりながら、もう片方の手をあげて、

店員さんを呼び止めた。

注文してる修ちゃんの横顔をじーっと見ながら、

頬が緩んできてしまう私は、相当重症なのかな。

だって、あたりまえのことだけど、

高校生とは違うなっていうか、

大人っぽくて、カッコよくって。

頬杖ついてる顎のラインとか、

手の甲に浮き出た血管とか、

長くてキレイな指とか、

そういう修ちゃんの男の人な部分を、改めて意識しちゃって。

見たいんだけど、まともに見られないくらい恥ずかしくて、

せっかくの二人きりなのに、何も話せない。

私はひたすら窓の外を見てるフリして、

注文したメニューが運ばれてくるのを待った。
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