儚い瞳の守り人
序章
月明かりが照らす中で
ーー何でこうなったんだろう。
差し込む淡い月の光がわたしたちを照らす、時計の針はもう1時は過ぎているだろう真夜中。
瞼はその明るさによって徐々に開いて、目が覚めてしまったわたしはいつも同じことを考える。
考えたって、わたしの中で出る答えはひとつなのに。
わたしが無知だったのがいけなかった。
生まれついたときから自分にあった光り輝く醜い左目のせいだと、この瞳を恨んだときもあった。
でもそんなの自分の境遇の不幸を悔やんでるだけ。
わたしは何もかもを知ろうとしなかった。知らなくても生きていけると思ってた。
自分が何者でどんな存在かなんて知らなくても、守られながら、ただ狭い世界の中で。
もっと早くこの関係を壊せば良かったんだ。
守られる者と守る者。
そんな頼り切った関係なんて。
寝返りをうつように身体を捻らせて隣を見る。
胡座をかきながら頬杖をついてウトウトしている萊(ライ)。
この気持ちを恋と呼ぶには色々なことを経験し過ぎた。
それに恋ってドキドキして隣にいたら夜も眠れないんでしょ?
じゃあわたしはその逆だ。萊が隣にいると思うだけで、よく眠れる。
この気持ちを広い世界では何と呼ぶのかは分からないけど、どんな関係だって、何と呼ばれているであろう気持ちだって。
わたしはあなたの隣にいたい。
ずっと…ずっと。
そう、願ってしまうんだ。