儚い瞳の守り人
良かった……やっと断る建前が。
「仁くんだっけ?今日の放課後蓬ちゃんと2人きりにしてくれないかな?」
なっ何を…。
「それは蓬先輩の護衛として断ります」
仁くんが頑なに即答してホッとしている最中、お盆を机に下ろして耳打ちするように仁くんに近付いた。
何を言ったのかは勿論聞こえなかったが、何かを言って微笑む沙鷗に仁くんは目を見開いてまた業務事項のように淡々と話す。
「遠くからの監視ぐらいなら配慮出来ますが?」
「ありがと。理解のある護衛さんで助かるよ」
「それじゃあ放課後また。護衛さんは遠目から見張ってるらしいので」
そう言うと机のお盆を片手で持ち上げ、もう片方でわたしの持っていたお盆を取り上げると沙鷗は去っていった。
「仁くんっ‼︎何で⁉︎」
しばらく呆然としていたわたしが正気に戻るとわたしはすぐに仁くんを責めた。
「あの手の何の手でも使って強要させようとする先輩は断ったら面倒臭いことになるのは確実だったので」
何を言われたのかは分からないが仁くんのあの見開いた目はそういうことだったのだろうか。