儚い瞳の守り人
「あと何よりクラスでの位置付けは上位の方だし、見てくれも良いからかなりモテてる。運動も勉強もそつなくこなしちゃうあたり嫌味だけど周りとは上手くやってるわね」
「どっちかというと萊斗くんタイプかも」
萊……か。
「相変わらずかなりの情報量で」
「えーっ?このぐらいまだまだ序の口よ。沙鷗の会社についてはまだ謎が多いし」
『わたしの知らないことなんて世の中にあり過ぎるのよ』その後に小さく呟いた依ちゃんの顔は一瞬歪みすぐにまた戻った。
その一瞬をわたしは察知したけれど、そんな暇もなく話は次へと移る。
依ちゃんの滅多に見せない歪みの所在は掴めそうで掴めない。
「まぁそんなところ。頑張ってね蓬」
「うん……まぁ。何を頑張ればいいのか分かんないけど…それなりに」
曖昧に答えると依ちゃんはお盆を持って立ち上がった。
「そろそろ行く?」
「うん」
依ちゃんの呼びかけに仁くんも立って、わたしはその後ろをついて行った。