儚い瞳の守り人
この機関の秘密に関しては徹底した情報統制、言ってしまえば政治的圧力によって守られている。
その徹底具合はかなりのもので、この審査に来ている人物は誰の警護をするのかも知らされてなく、ましてや龍人なんていう人間が存在することさえ知らないだろう。
SPなどがいる警視庁の警護課とは別の独立した機関になっているのも、その秘密を守るためだ。
体格の良いに加え頭の良さそうな奴が立っては座り、少しずつ俺の番が近づいて来る。
審査官のギョロッとした多くの目がその度に動く。
……気が狂う。早く終わってくれ。
審査対象にとっては命の水か天国への道標が目の前にぶら下がっているような感覚なのかもしれないが、俺にとっては密室空間に人がひしめき合うこの状況自体が地獄だ。
この監視されるような、一見普通に見えて何もかもを見透かそうとするような目も。
二次審査の身体能力審査ではその名の通り身体能力を、面接審査では質問に答える仕草や目の動きなどで審査官という行動心理学のスペシャリストが相応しい者を選ぶ。
審査長は国の建前だけの使いだが、他は正真正銘の心理学者。
だからなのか、俺は緊張なんてする必要さえないのに、鼓動が速くなる。