儚い瞳の守り人
今日は久しぶりの休みだ。
腕時計を見るともう1時を過ぎており、思い出したように腹が減る。
先に無双会にでも顔出しとくか。
ボロボロのビルからはおさらばして、近くにあるいかにも田舎臭い駅から電車に乗った。
そして無双会に着いた頃にはもう2時を過ぎていた。
今度は街の真ん中にある新しい綺麗なビルで、エレベーターに乗って14階まで上がる。
そしてたどり着いた先には『無双会』と達筆な字で書かれた木板が掲げてある。
中に入ると男臭い臭いがプンプンとしてきた。
「高校生が入るにはちょっと場違いじゃありません?このビル。俺はもうちょい古びたビルとか秘密基地みたいにひっそりしていた方が…」
「慣れたらみんな普通に入ってくるぞ?最初は気負いしていたがな」
入った瞬間に出迎えてくれた『がっはっは』と笑うガタイの良いおじさんはこの無双会の創設者だ。
無双会のメンバーからは長(おさ)と呼ばれている。本名を知る者は誰もいない。