儚い瞳の守り人
「今日は休みですか?」
「まぁ休みっちゃあ休みだけど、トレーニングも仕事の一環だからね」
「…ずっと思ってたんですけど長とか飯月さんって何の仕事してるんですか?」
「え。何言ってんの萊斗。知らなかった?俺たちの仕事は泣く子も黙る…」
高速になっていたランニングマシンが速度を落として止まり、汗を拭きながらタイミング良く俺の前に立った無双会No.3の雨宮(アメミヤ)が飯月の言葉を遮るように口を開いた。
「人聞きの悪い言い方をするな。ボディーガードだ」
その言葉に俺は眉をひそめる。
ボディーガード……?
雨宮の言葉に補足するように飯月は付け加えた。
「ってか長は教えてくれなかったんだ?長と俺と雨宮の大人組は民間のSPで生計立ててるんだよ。だから事務所を移したり、ジムの設備が充実出来る」
「俺らみたいな身寄りのない奴にとって家族のようなあいつらを守ることもな」
愛しそうな目で雨宮は外の騒いでいる奴たちを見つめた。
ーーこの会が好きなんだよな。
大人組のこの人たちを見ていると、いつもそう感じる。