儚い瞳の守り人
「遠慮しときます、俺昼飯食ってなくて死にそうなんで」
「…へぇ。逃げるんだ?」
飯月は挑発するような目で笑う。
「飯月さんすみません。俺その手の挑発には乗らないですーーそれに万全の状態じゃないと飯月さんは手強いですし、負ける気しかしませんから」
「ふーん。あーぁ面白くねーの」
胡座をかいたまま倒れていった飯月は大の字に寝転がった。
「…すみません」
「そこら辺にしといてやれ。萊斗困ってんだろ」
「ちぇー。また今度してよ?俺高校生相手に本気なんて出せないし」
「はい。勿論です」
俺も高校生なんだけどな、そう思いながら返事をした。
出入り口に向かっていると、メンバーたちが俺の方へと真っ直ぐに走ってくるのが横目で見えた。
「頻繁に来て下さいね」
「手合わせ!手合わせも‼︎」
「お前らなんか一発でノックアウトしてやるよ」
こいつらの俺に対しての態度と言ったら本当に……馬鹿で真っ直ぐだよな。それが大人組にとっては愛おしいのかもしれない。
でもそんなこいつらを育てたのは彼らだ。
大きく手を振る大勢の無双の仲間たちは、俺がエレベーターに乗るまで手を振り続けてくれた。