儚い瞳の守り人
予兆
「これはどういうことだ。説明しろ、仁」
「説明しろと言われても、ご覧の通りです」
昼飯を食べた後、学校と寮の中間地点に存在する学園生専用のジムに行き、その後はずっとお嬢が学校を終わるのを寮で待っていた。
そんな俺が夕食間際になってやっと戻ってきた奴らに少しばかり苛立ちを覚えるのは致し方ないことだ。
それにお嬢が男を連れて…なんて以ての外の話。
学生食堂でお盆を持ちながら仲よさげに話しているお嬢と、知らない男の背中を見つめて、その男にそこは俺の場所だと言いたくなる。
自分勝手で傲慢なのは十分分かっているから、もちろん胸の奥深くに納めておく。
その2人の後ろに何食わぬ顔をして並んでいた仁を引っ張り出して、事情を聞いた。
「ご覧の通りってお前がいながら。警戒しなかったのか⁉︎」
「流石にしますよ。だから俺はこうやって後ろで見守ってる訳で…。それに依先輩も言ってましたし、この学園に入る人は国で管理されてるから危険人物は入り得ないって」
「その国が危ないんだよ‼︎‼︎」