儚い瞳の守り人
ーー騒つく寮生たち。
大声で言い放ってしまった俺は後悔してもすでに遅く、沢山の寮生から注目を浴びた。
ちっ……。
仁は甘く見すぎてる。
命を捧げて龍人を守るという俺たち守り人の役目を。そのために俺たちが細心の注意気を払わなければいけないことも。
「ただ蓬先輩の近くに男がいるってだけで何をそんなに…あんまり過保護だと嫌われますよ」
……ガツンと頭を殴られた気分になった。それも分かってんだよ。
でも俺はそんなに周りが言うほど過保護か?
お嬢の周りの危険だと思われるものは全て取り除いておきたい、叶うならお嬢に綺麗なものだけを見て欲しい。
ただ俺が守っている世界の中で平凡に生きて欲しい。
俺の願いはそれだけだというのに。
「萊‼︎」
そう呼ばれて振り向くと、お盆を持ちながら小走りで俺の方に向かってくるお嬢……。
「危ない‼︎蓬‼︎‼︎」
転びそうになって前につんのめったお嬢に、この距離だともう助けられないと思った一瞬でお嬢は抱きかかえられていた。