儚い瞳の守り人
まあでも依澤がそういうのは、仕方ないことだ。
『国が管理している』
一般人がそういう情報だけ聞けば当然ありつくだろう安心感。
国に任せておけば、大丈夫。
俺たちは自分の知らない領域のことになるとすぐにそうやって、深く考えるのを止める、追求しなくなる。
でもそんな保証なんてどこにある?
大きな国を管理する人間は、その膨大すぎる力を制御し自分の利益にしようとする奴らだ。
利益を追求するのは悪くないのかもしれない、その利益を国民の役に立てようとしているのかも分からない。
けど俺は……俺にとってはお嬢を傷つける奴は誰であろうと敵。
それがどれだけ大きい組織だとしても…だ。
「萊……?」
「何でもない」
無言になった俺を、またお嬢は無防備に、心配そうにじっと見つめる。
その顔もやめろ。男が寄ってくる。
そんな言葉は到底言えるはずもなく、また俺の心の奥底に消え去っていった。