儚い瞳の守り人
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最初から拒絶するのは良くなかったな、そう思い始めたのはもう夕日が沈もうとしている頃。
わたしは仁くんの言う通り他人と必要最低限しか関わりを持ってなくて、そのせいで沙鷗が面白い話をしてくれても、どう反応すればいいか分からず愛想笑いでやり過ごすだけだった。
そんなやりとりを壊すきっかけになったのは、沙鷗の家族の話になってからだ。
『俺の父親会社の社長でさ、昔から忙しくて母親だけに育ててもらったようなものだけど、俺はずっと憧れてんだ』
『兄ちゃんもさ次期社長として頑張っててさ、でも気付いてみたら自分には何もなかった』
『だから俺は父親と兄ちゃんの助けになれるなら何でもしようって決めたんだ』
その目には強い意志が宿っていた。
家族を大切にしてる彼がカッコよく見えた。
「わたし、両親が小さい頃に亡くなって……だから家族を守ろうとしてる沙鷗くんは素敵だと思う」
「まじ?」
驚いた表情で、わたしの方を嬉しそうに見てくるから少しドキッと胸が鳴る。