儚い瞳の守り人
「あんまりそういうこと言われないからさ。何か嬉しいな、そう言われると」
またわたしに笑いかけられると、何だか胸が疼いて。
うわ……ドキドキだ。
その胸の高鳴りが心地良かった。
それからわたしは自分のことを話した、龍人のことは流石に言えないけれど話してもいいかなって思える程、沙鷗はわたしの過去を受け入れてくれるように聞いてくれた。
家族を大切に思う人に悪い人はいないのかな。
そんなことまで思う。
「夕食の時間もあるのでそろそろ良いですか」
そして土手に座って話込んでいたわたしたちに仁くんが声をかけて、わたしたちは帰路に着いた。
ーー夕食を食べ終わったあと『LINEとかメールアドレスとか聞かれても絶対教えるなよ』と萊に凄い剣幕で釘を刺されたわたしはトボトボと部屋に戻る。
でも、何でわたしこんなに萊に何でもかんでも強制させられなきゃいけないんだろ。
今まで思って良いだろうことを、今やっと思う。