儚い瞳の守り人
嬉しいけど、何かピンと来ない。
彼氏は普通に欲しいし、カップルを見る度に羨ましいとは思うけれど、沙鷗とそういう関係になるところはあまり想像出来ない。
でも良い人だなって思ったり、ドキッとしたりはする。
「まぁ付き合ってみるっていうのもありだよな。蓬も男が萊斗だけじゃ飽きるだろ」
なっ、何でそこで萊。
「萊は関係ないから‼︎」
「まったまたー。でもわたしはどっちかと言うとそのよく分からない一目惚れ野郎よりは萊斗推しだなぁ」
一目惚れ野郎って鷹姉…。
酔ってるのかそれとも酔ってなくてもこうなのか。
「ほんとに、何で萊が出てくるの」
「だってねぇ。相思相愛じゃない」
「待って‼︎萊は守り人だし」
わたしがそう言うと鷹姉と亜紀兄は顔を見合わせて、これ以上は言っても無駄だと諦めたみたいだった。
いや待って待って。わたし否定してるのに明らかにおかしいよこの状況。
そんなわたしの動揺なんか気にせずに鷹姉はお酒を凄い勢いで飲んで、音を立てて机にグラスを置いた。